「春海、何かあったの…?」

やっぱり、間違いなんかじゃなかった。

聖は、僕の名前を呼んでいる。

「――春海…」

そっと、僕の唇に何かが触れた。

聖の唇だった。

触れるだけだったその行為は、すぐに離れる。

「――ひじ、り…?」

突然の出来事で、頭が働かない。

今、聖にキスされた…?

突然のことに何もできない僕に、聖が僕の胸に顔を埋めた。

「――好き…」

僕の胸から、聖の小さな声が聞こえた。

「――春海が、好きなの…」