小さな声でそう言った聖に、
「嫌じゃない」

僕は彼女の躰を抱きしめた。

ハッと、僕は我に返った。

今自分は、彼女に何をしているのだろう?

小さな彼女を誘拐して、ましてやこんなことをしているなんて…。

けど聖は、僕の突然の行動に何もしなかった。

僕の躰を押しのける訳でもない。

泣く訳でもない。

思わず、うぬぼれてしまった。

まさか、聖も…?

聖が何もしてこないのは、僕に恋をしてるからなのだろうか?

そんな訳ない。

すぐに否定した。

僕は、聖を誘拐したのに。