振り返ると、
「何だ、起きていたのか」

寝室から少女が出てきた。

胸元までの黒髪がフワリと揺れる。

「春ちゃんが帰ってくるまで起きてた」

ニコニコと笑って、僕の隣に少女――聖が僕の隣に並んだ。

「寝たのかと思ったよ」

僕が言うと、
「春ちゃんを驚かせたかったから、寝室に隠れてた」

聖はイタズラっぽく笑った。

「何か作ろうか?

お腹すいたでしょ?」

そう言った聖に、
「ああ、頼んだ」

僕が首を縦に振ってうなずいたことを確認すると、聖はキッチンに行った。