僕は彼女の前に手を差し出した。

彼女は迷うことなく、自分の手を僕に預けた。

もう迷わなかった。

もうためらわなかった。

自分のやっていることが犯罪だったとしても、僕は彼女を連れて行こうと思った。

ギュッ…とはぐれないように、そして離さないようにと、僕は小さなその手を握りしめた。

足を前に踏み出して歩き出すと、彼女も僕にあわせるように歩き始めた。

イルミネーションが輝く街の中を、僕たちは通り抜けたのだった。

これが、僕と彼女――聖との出会いだった。

そして、聖に恋をした瞬間だった。