鼻に感じるのは、聖の匂い。

肌に感じるのは、聖の体温。

「春海は、私の前では自然に振る舞っていいから。

疲れているなら、無理をしないで」

ウソをつくたびに、秘密が増えて行く。

秘密が増えるたびに、関係は濃厚なものへとなって行く。

「――聖…」

名前を呼んだ後、僕は彼女の唇にそっとキスを落とした。

ウソも秘密も、彼女は何もかも共有してくれる。

「お前がそばにいればいい…」

彼女がそばにいてくれるなら、他には何もいらない。

僕と全部共有してくれる聖が、そばにいてくれるなら。