「すみません。

心配してくれるのはありがたいですが、自分のことは自分で決めますので」

そうやってウソを言った後、僕は電話を切った。

「――春ちゃん…?」

僕の名前を呼んだ聖は、心配の色を濃くさせた。

「大丈夫だ」

そんな彼女に、僕は笑って答えた。

「大丈夫じゃないよ、春海」

彼女に僕のウソは通じない。

「私の前では、無理しないくていいから」

隠していても、すぐに見透かすからだ。

「ああ、わかってる」

返事をした後、僕は彼女の肩に顔を埋めた。