幸せだとでも言うように、彼は笑顔を見せている。

多少の傷があっても、幸せならどうってことないのだろう。

「別に、恋人仲良く通勤なんて珍しい訳でもあるまいし。

課長なんて夫婦で堂々と通勤ですよ？

何を恥ずかしがっているのやらみたいな話ですよ」

グチグチと文句を言ってはいるものの、顔は幸せの笑みそのものだった。

僕からして見たら、幸せを自慢しているようにしか見えない。

「部長はないんですか？」

「何が？」

いきなり話を振られて、僕は思わず聞き返した。

正直に言うなら、予想していなかった。