第3者の目から見たら、僕らは長年連れそった夫婦に見えるかも知れない。

…結婚していないけど。


「おはようございます」

会社につくなり、僕に声をかけてきたのは係長の姫島北斗(ヒメジマホクト)だった。

彼は去年の秋に係長と言う肩書きを背負って赴任してきた。

「おはよう」

僕は彼にあいさつを返した。

「桃井はどうした?」

僕は姫島の恋人である桃井那智(モモイナチ)が隣にいないことに気づいた。

「なっちゃんは後からきます。

一緒に通勤するのが恥ずかしいからって、未だに別々なんですよ」

困ったような言い方をした彼だけど、顔は逆だった。