そう言えば、あの時に避妊をしていなかったことを思い出した。

聖が積極的で、それどころじゃなかったと言うのももちろんある。

そっと聖に視線を向けると、彼女の視線は自分のお腹の方に向けられていた。

信じられないのだろう。

自分が妊娠することを、夢にも思ってなかったのだろう。

「産みますか?」

女医が僕たちに問いかけてきた。

「はい、産みます」

僕が返事をしたのを確認すると、
「産みます」

聖も返事した。

迷わなかった。

覚悟は、もうできている。