唇がそっと離された。

「――聖…」

愛しいあなたに名前を呼ばれることも、幸せだ。

ポスッと、春海が私の肩に顔を埋める。

そこから彼の体温が私に伝わってきた。

それにも、私は幸せを感じた。

春海が好き。

春海が愛しい。

春海を、愛してる。

黒髪に手を伸ばして、それを指に絡めた。

指通りのいい、ツヤのある黒髪だった。

ああ、私のものなんだ。

この躰も、心も、全て私のものなんだ。