そんなことを思ってた時だった。

「――つらかったんだな…」

春海の唇から、言葉がこぼれ落ちた。

「いや、簡単に言うべきじゃないな」

そう言った後、春海は目を伏せると、考えるように黙った。

私は、泣きそうになっていた。

春海が言ってくれた言葉が嬉しくて、涙が出そうになった。

春海は目をあげると、私の腰に手を回した。

「――嫌、か?」

そう問いかけてきた春海に、私は首を横に振った。

そして、自分から唇に触れた。