本当は、母親は生きているのではないか。

実はこれは夢で、目を覚ましたら母親がいるのではないか。

みんなが僕にウソをついているのではないか。

そんな期待を胸に抱いた。

けど、その期待が叶うことは決してなかった。

小さな箱になってしまった母親を見た瞬間、これが現実であることを知らされたのだった。


「春海、新しいお母さんだ」

実母が亡くなってから、1年半経った出来事だった。

父親は、大おばたちに勧められて再婚した。

新しく母親となった女性は、実母とは正反対の人だった。

一言で言うならば、お年を召したおばさんだった。