「春ちゃん?」

目の前にいたのは、心配そうな顔の聖だった。

「――あ、ああ…」

首を動かして、場所の確認をした。

見なれた我が家のものたちが、視界に入ってくる。

いつの間にか、帰ってきていたらしい。

「さっきから、何だか春ちゃんの様子が変だよ。

何かあったの?」

――彼女、母親から性的な暴行を受けていたんです

汚らわしそうに言った奈津子おば様の言葉が頭に浮かぶ。

「春ちゃん!」

強い口調で聖が僕を呼んだ。