一緒のふとんで眠っていた母親がいないことに気づいた。

幼かった当時の僕は、恐怖を感じた。

パジャマ姿のままバタバタと1階へ降りた僕を迎えてくれたのは、父親と大おばたちだった。

目を真っ赤にして泣いている父に、めったに訪れない大おばたちが僕の前にいる。

一体、何があったと言うのだろう?

「――春海ちゃん…」

大おばの1人が僕に気づくと、今にも泣き出しそうな声で僕に声をかけてきた。

幼いながら、僕はただごとでは済まされないような何かがあったことを予感した。

「――お母さん、どこにいるの…?」