「――足りないの…」

唇を動かして、声に出して伝えた。

「何が?」

本当は、わかってる。

でも、春海は何もしてこない。

私にイジワルをしようとしていることが、丸見えだ。

春海はいつもこうして、仕返しと言うように私にイジワルをする。

「――唇だけじゃ、足りない…」

そう言った私に、
「うん」

春海は首を縦に振ってうなずいた。

それを見た瞬間、私の躰が震え出した。

早く春海に触れて欲しいと言うように、躰は求めている。

「――もっと、春海が欲しいの…」