「――春海…」

触れた瞬間、私はささやくように名前を呼んだ。

春海の弱いところ――それは、私だけが知っている秘密だ。

「――んっ…ひじ、り…」

春海は潤んだ目を私に向けると、見つめてきた。

「――もう、ダメ?」

見つめ返すと、わざとらしく首を傾げて問いかけた。

春海は首を縦に振ってうなずくと、すがりつくように私を見つめてきた。

私だけに見せてくれる弱い春海。

それが私だけしか知らない春海のようで、嬉しくなる。

そんな優越感に浸っていた時だった。