「あなたは、昔から何が気に入らなかったのですか?

私が勧めた方と冬海さんを結婚させても、あなたは気に入らなかった。

気に入らなかったから、結局別れてしまった」

「――父は、関係ないじゃないですか」

冬海とは、僕の父親の名前だ。

父親の話題を出してまでも、僕と聖を別れさせたいのか。

「奈々恵さんのことだってそうです。

彼女はあなたの妻として何もかもをつくしてくれる人なのに、あなたは気に入らない。

どうしてあの娘ばかり…」

「あなたの方こそ、どうして聖が気に入らないと言うのですか?」