会社から走って、住んでいるマンションに到着した。

息が乱れているところを整えている場合ではない。

それよりも、聖を…。

彼女を、助けないといけない。

階段を使って、大急ぎで駆けあがった。

住んでいる階についたとたん、ドアの音が聞こえた。

息をひそめて覗いて見ると、
「――なっ…!」

思わず出そうになった声を隠すように手でおおうと、その場の様子を観察した。

ドアの前には、宅配業者の制服を着た男がいた。

手には、小包を持っている。

一見すると、荷物を届けにきた宅配業者に見える。