ピーンポーン

そう思っていたら、チャイムの音が聞こえた。

何かしら?

そう思って腰をあげようとしたけど、やめた。

――誰がきても、ドアを開けるなよ

春海の言いつけを思い出したからだ。

会社に行く時、春海はいつも私に言うのだ。

本当に、心配性だ。

でも今回は、特にと言っていいほど神経をとがらせている。

彼が神経をとがらせている理由――それは、この間の出来事が原因じゃないかと思う。

春海が声を荒げて怒鳴った日――2人の訪問者がきたあの日である――が、彼の神経を特にとがらせたのではないかと思う。