「じゃ、あたし行くわ」

長年の親友は、相変わらず無機質な声を出して、立ち上がる。


それと同時にこのカフェの窓際の席から立ち上がって並んで歩く。


紗織と並んで歩くのは嫌いじゃない。歩幅が広くて早足なあたしは、会社の子達と歩くには疲れる。その点紗織はぴったりあたしの早さと同じだから。



「で、今日も関谷?」



明日は休日。最近、紗織の週末は関谷に占領されている。目障りこの上ない。


「ええ、そうね」



特に何の起伏もないその声からは何の表情も読み取れないけど、まあ、実際、紗織は分かりずら過ぎる。