パニックで低い声の認識はできでも

内容が聞き取れなかった。


「えっ、えっ……?」

なんとか落ち着こうと反応してみるけど

視界がぐるぐるする。


なんで、私コイツの胸に寄りかかってるの?!


少しした沈黙があって

ふと我に返った私は自由になっているもう片方の手で胸を押し返そうと

手を動かしたのと同時に

私のスカートが触れてる奴のズボンのポケットが震えた。


びっくりして足を後ろに進めると

真っ赤な顔のコイツと目が合う。



「す、スマホ……、鳴ってる」

私は自分でもびっくりするくらい弱々しい声で

彼のポケットを指差す。


「……あ、あぁ」

奴もやっと絞り出したような声で

返事をすると

「ちょっとごめん」

といってスマホを操作し耳に当てた。


電話だったらしく、

「何……?」

と話し出す。


静かな廊下奥のせいで

電話相手の声も聞こえる。

キンとした女性の声だ。