「えっ、私が?
水野くんと友達に!?」
コイツの発言の意図が掴めそうで掴めない。
「そうそう、香乃子ちゃんだったら
あいつの気持ちとかわかるんじゃないかって思ってさ」
似てる、とは思ったけど、
この間が初対面だし、彼は男子でよくわからないし……。
そんな風に不安に思っているのが伝わったのか
「大丈夫だよ、俺とも友達になれたじゃん」
なんて励ます調子で言われてイラっとする。
「アンタと友達になった覚えはないわ」
「そっか、友達じゃないよな、
香乃子ちゃんは俺が好きなんだもんな」
手で拳を握る。
キッと睨むと、にこーっと笑う奴。
「あー、可愛い」
それを聞いて私は握った拳を胸のところまであげる。
「ちょちょ、待った!!」
そう言ってコイツは私の手首を掴む。
「放してよ!」
掴まれてるところに熱を感じる。
……気持ち悪すぎてじんましんでもでちゃうのかも。
「んー、またさっき俺の事『アンタ』って言ったっしょ?」
コイツの事でよくわからないことはたくさんある。
そもそも知りたくないし。
でも少しずつ嫌々ながらわかってきたコイツの性格。
恥ずかしい、顔から火がでそうなほど恥ずかしい。
でもどうしたらこの手が離れるか私は知ってる。
「……放してよ、稜佑。」
恥ずかしすぎて顔を俯く。
ふっと笑った息が聞こえて
やっと放してくれるのかと思って握っていた拳の力を解く。
その瞬間
「えっ……?」
気がつくと視界は暗く
頬が何かに押し付けられてる。
状況が理解できない私の耳元で
低く甘い声が響く。
「もうあんま可愛すぎることすんな」