思考停止中の私に、さらに顔を近づける桃井稜佑。


え、ちょっと待って、何言ってんの。

ていうか、何しようとしてんの、この人!?


驚いて黙ってる私の行動が、

さっきの言葉を肯定してるように思ったらしく、


「目、つぶんないの?」


と言いながら、片手を私の肩から頬に移動させた。

身体中に悪寒が走ったのが分かった。


段々近づいてくるその顔を、

力の入らない状態でどう避けていいかもわからず、

パニックに陥った私は……



「ち、近寄んないで!気持ち悪いっ!」


顔を俯けて発した大声。


「……え、山田、さん?」


震える声を聞いて

恐る恐る顔をあげ目を開けると、

驚いているように目を見開く桃井稜佑。


私はその表情を見て

全身の血の気が引いたのを感じた。


……しまった!!