「…………」

ページをめくる手は止まったものの、相変わらず返事はない。


茜ちゃん達は少し苦い顔をして、

目を見合わせる。

「んー、水野、もうちょい参加しろよー」

なんて、奴でさえも渋い顔だ。

「佐月はー?」

とついに水野くんのこたえを聞くことなく

伊東くんに話がそれた。

「俺は酪農かな。アイス食いたい」

なんて伊東くんの言葉に

茜ちゃんがにやけてしまうのをばれないように

ぎゅっと唇を噛み締めたのがわかって可愛かった。


結局その後は多数決をして、

私もアイスが食べたいからと手を挙げたら

茜ちゃんと伊東くんと私とアイツで4人になって、

酪農体験の乳搾りを選択することになった。

美奈ちゃんは「嫌だぁー!」なんて言ってみんなで笑ってたけど

その多数決にも水野くんは手を挙げもしなかった。


……うーん、何でここまで参加してくれないんだろう。

私は彼をじっと見つめてみたけど、

もちろんそれも気付かれなかった。