「……稜佑、揃ったから始めて」

女子と楽しそうに話終えた奴に

伊東くんがしびれを切らしたように話しかける。

そんな彼を茜ちゃんは相変わらず乙女の眼差しで見つめている。

「おおー、みんな揃ったな。

んじゃどこにする?何やる?」

と唐突にやる気をだしたコイツは

さっき配られたプリントに目を落として言った。


「私乳搾りやってみたいー!」

「えー、酪農キツいよー!

田植え体験でいいじゃん」

なんてすぐ茜ちゃんと美奈ちゃんが案を出し始める。

「でも酪農系やると最後アイスもらえるんだってー!」

「稲作系もおにぎりもらえるもんー」

二人の会話は進んでいく。

周りは軽く置いてけぼりだ。


私を含めたみんながポカーンとしてると

私の目の前でパラと紙をめくる音が響く。


水野くんは話し合いにも全く参加する気なく、

この前みたいに本しか見えてない。


そんな彼がアイツも目にとまったのか、

「んじゃ酪農か稲作か、まず決めようぜ

……水野はどれがいいー?」

なんて話を振った。