「『あのねぇ!』……の後、何?」

なんて意地悪そうに

私の顔を覗き込む。


「…………」

私が黙ると教室の中の

時計が動く音がよく聞こえた。


向かいの新校舎の吹奏楽の音や

グラウンドを走る生徒たちの声も届く。


「まっ、とりあえず、座ったら?」

と桃井稜佑は自分の横の席の椅子を引いた。

私はそれを無視して、

コイツとは机をはさんで前の席に座る。


「うわっ、可愛くねぇ!」

なんて言われて腹が立ち

「アンタの横なんて座りたくない」

構わずツンケンしてみる。


久しぶりに学校で口調がキツくなってるけど

誰もいないからもう気にしないんだ。

しかも悲しいことに

コイツがからかってくるのもある程度は慣れてきてしまっていた。


さらに正直言ってしまうと、

むしろ特に気を使わなくて

楽だとまで思っている自分がいた。