「あの、ちょっといいですか……?」
私が話しかけると
スマホをいじっていた手を止め
にまー、と気持ち悪く笑った。
「ん?何?」
私は早くこの人と話を終えたくて
手短に答える。
「私たちの班の選んだコースのアルファベット、
教えてもらってもいいですか」
私がそう言うと
桃井稜佑は
「えー、山田さん聞いてなかったの?
困るなぁ、副班長さんにはしっかりしてもらわないとー」
なんて、全然困ってなさそうに言う。
アンタが私に紙の記入を押し付けて
話し合い入れなかったんでしょーが!!!
という不満はおさえて、
「そう、ごめんなさい。
でもとりあえずいいから教えて」
なんて我慢のせいで少し口調がきつくなったのを感じた。
早く教えてくれればいいだけなのに!
とイライラしている私に向かって
桃井稜佑は言った。
「話聞いてなかったんじゃ、しょうがないな。
もう一回、放課後2人で残って
俺が一から丁寧に説明してやるよ」