帰りのHRはスムーズに終わり、
学級委員の号令で終礼となった。
私はさっきの紙を完成させるべく、
席の1番近い紗依ちゃんに話しかけた。
「紗依ちゃん、さっきコースどこに決まったの?」
彼女に聞くと
ほんわかした笑顔で
「あ、あのね、湖の周りを歩くコースにしたんだよ」
と教えてくれた。
でも紙の書く欄には
小さく四角カッコがあるだけで
どう書いていいか分からず止まっていると
「た、確か桃井くんがそのコースの
アルファベット表記がわかる地図を持ってたよ」
と優しく教えてくれた。
そこで桃井稜佑を見ると
何故か暇そうに席でスマホをいじっている。
「ありがとう!あの人に聞いてくるね!」
話しかけるのは嫌だったけど、
仕事だからしょうがないと思い
紗依ちゃんにお礼を言って奴の方へ向かう。
「香乃子ちゃんも苦手っていってたのに、
大丈夫なの?」
と向かう前に紗依ちゃんが心配してくれて
その嬉しさでなんとか話しかけるのも
頑張れそうだ。