「ん?」

コース決めをしようと

当日のハイキングコースの地図を

読書をしている彼を除いて

眺めていたみんなが一斉にこっちを見た。


「あ、中断して、ごめんね。

えっと、申し訳ないんだけど、

みんなそれぞれこの紙に名前を書いてもらえますか?」


私はそう言って紙をみんなに見せた。

みんなは納得した顔つきで

「うん、わかった!」

と、私の隣にいた紗依ちゃんから順に

自分で名前を書いていく。


桃井稜佑が書き終わると

「ほら、水野も!」

といって隣に座る彼に紙を渡す。


「……え」

話しかけられて読書を一旦やめた彼は

その紙を見て理解したのか、

静かにシャーペンで名前を書いた。


そして

「はい、山田さん」

と何故か桃井稜佑が私に紙を回す。


「……どーも」

そう言って私はその紙を受け取った。