「ほい、山田さん、これ副班長が書いてね」

桃井稜佑は私が副班長に決まった途端に

さっき伊東くんがもらってきた

紙を渡してきた。

ああ、コイツ雑用が欲しかったんだわ。


「…………」

私は無言で受け取るとその紙を見た。


『班員名簿』

一番最初の枠にはそう書かれていた。

あー、みんなの名前を書かなくちゃいけないのか。


そう思って筆箱からシャーペンを取り出す。


よし、書くか。


でもシャーペンを紙に置いたその手は

しばらく動かせなかった。


……私、みんなの名前の漢字知らない。


「よし、じゃあその間にコースとアクティビティ決めようぜ」

さっさと次に行きたかがる桃井稜佑の邪魔をすることになるけど

これ後で教卓に提出っぽいから、

ちゃんと記入しなくちゃ。


「あのっ――!」

私は恐る恐る声を上げた。