「まだ誰かと班組んでないっしょ?」

とあの誰にでも向ける安い笑顔を

その『水野』くんに向けると


「じゃあ佐月ー、黒板に俺ら3人書いといてー!」

と大きな声を出す桃井稜佑。

どうやら自分から聞いといて

水野くんへの質問の答えを聞く気はないようだ。


「はぁ…………」

とため息をつくと

お願いされた伊東くんは

渋々と黒板まで歩きチョークを手に取った。


黒板には


『桃井、水野、伊東』


と書かれた。


「よしっ」

と満足そうに腕を組み頷く奴。


一方で奴に急に班員にされ

しばらく固まっていた彼は

また何もなかったかのように本を読みだした。