こんなやり取りをしていると
もしかして自分が今までとってきた
素行の数々はすっごく無礼なことだったかもしれないと
改めて謝ろう……としたのに、
「まっ、俺、基本誰にでも優しいからねー」
は……?
「香乃子ちゃんもさー、
ちょっと見てて痛かったし
なんでこんな面白いのに1人でいんだろーって、
誰かと絡んだらもっと面白くなりそうなのに!って」
『痛かった』?
『面白い』?
しかも挙げ句の果て
『誰かと絡んだらもっと面白くなりそう』?
多分最後の言葉の正しい解釈はこう、
『誰かと絡んだらもっと(俺にとって)面白くなりそう』
私はさっきまで芽生えていた
温かくてくすぐったい感情はどっかに消えていた。
あの感情の正体はよくわからなかったけど、
とにかく、
「ア、アンタって、
やっぱホンット最低!!」
私はその後その場をすぐ離れて
教室へ帰った。
「紗依ちゃん、待たせてごめんなさい!
よかったら一緒に帰ろう!」
もう、アイツなんて知らない。
謝ったしお礼も言ったんだから。
私はその後新しくできた友達と
高校生活で初めて楽しく帰宅した。
……でも、頭の中では
アイツのせいで生まれた正体不明の様々な感情が
ぐるぐると渦巻いていた。