「なっ!――」


手が置かれた頭が急に火照りだす。


目の前でミスマッチな組み合わせ同士の

会話を見ている紗依ちゃんは

案の定ポカンとした顔をしている。


「あ、紗依ちゃん!……ちょっと待ってて!!」


そう言って私は頭に置かれていた手を外し

その手を引いて教室を出た。


クラスの人は既に半数くらいが帰っていて

教室内に残る人が少なくて助かった。


私達は廊下の突きあたり、

少しくぼんで周りからはあまり見えない壁の所で止まった。


「えっ、何、香乃子ちゃん。

……誘ってんの?」


相変わらず外れたコイツの発言は無視して、

私は頭を下げた。


「ごめん。

昨日は言いすぎだったわ」


「えっ、ちょっ……」


多分私らしくない行動にびっくりしているらしい

桃井稜佑は言葉も出ないって感じだった。


それは気にせず続ける。