「すぐ思い出せなくてごめんなさい、
なんだかあの時と雰囲気が違ったような気がして……」
結構物事の記憶力は良くない私でも、
そんな印象深い人、絶対忘れない。
でも何かあの時と違う気がして、
じっと見つめる。
「あっ、あの時は髪が黒髪だったかな!」
と言って私が見つめてたのに照れたのか
少し顔を赤らめた彼女は答える。
そう、だったかもしれない。
今はすっかり明るい茶色の髪に
ほんのりとメイクをした整った顔が
とても綺麗だ。
「あの時は本に集中してるのに
邪魔しちゃったのかなって思って、
その後ずっと話しかけて良いタイミングがわからなくて……」
と苦笑いをした久良伎さん。
「そんな!!
あれは私の反応が悪くて……!」
と私が当時の自分の感じの悪さを反省していると
「そんなことないよ?」
と優しく笑ってくれた。