クラスのざわめきが一瞬とまった。


みんなの視線が一気に私に集まる。


やばい……！

誰か何か言って！


クラス中がびっくりしているらしく、

目を大きく見開き、

誰も何も話し出さない。


どうしよう、

失敗したかな……。


不安で押しつぶされそうになっていると


「おー、山田さんが持ってるってさ！」


と、桃井稜佑がキーホルダーの子に話しかけた。


「わぁ、本当！？」

と嬉しそうに笑ったその子は

そう言うと私の元まで駆け寄り、


「山田さん、貸してもらってもいいかな？」


屈託のない笑顔で私に話しかけた。


するとその後を桃井稜佑がついてきて、


「山田さんってしっかりしてるなぁ……！」


なんてわざとらしく言ったけど、


今の私にそれはどうでもよかった。


「よかったね、紗依 」

「山田さん、ありがとう！」


彼女の友達２人も私の元へ来て、

いつの間にか数人が私の周りを囲んでいた。