私はその声にはっとして、

泣きそうになっていた目をこすり

声がした方を無意識に見た。


「えー、あっ、本当だ!

わぁ、どうしよう……」


さっき『さよ』と呼ばれていた子が

鞄を手に取り

キーホルダーをなでた。


「家に帰ったら直したら?

彼氏とお揃いの大事なキーホルダーなんでしょ?」


指摘した子とは違う子が提案すると


「うん、そうだね。

でも帰るまでにリボンが完全にとれたら嫌だし、

外しておこうかなぁ」


その子はとても大事そうにそれを外した。


ざっと話を聞いていると

どうやら1人の子のキーホルダーの糸が

ほつれているらしかった。


最初に大きな声を出した子が

大きめの反応をしたから

何かあったのかと思えば、

そんなに大事じゃなくてよかった。


そのまま彼女たちを見つめてしまうと
気持ち悪がられると思い机に目を落とした。


あと昼休みは15分、

本を読むにも身に入らない今、
どうやって過ごそうかな。


なんて考えていると、

後ろから急に肩をポンと叩かれる。