校門と言えば、
この前は麗佳さんが来て揉めたけど、

稜佑いわく、
あの後はすっかりおとなしくなったらしい。


稜佑と『愛』とは何か?なんて、

その時に初めて兄妹らしく話せたんだって。


ぼーっと歩くと、

美奈たちが少し先に進んでしまった。

少しペースをあげて追いつこうとすると、

「山田さーん?」

知らない男子に通せんぼをされる。


「はい?」

朝からなんだろう、とうんざりしていると

「桃井と遊ぶなら俺とも遊んでよー」

なんて。


……なんでこういう変な奴ばっか声かけてくるんだろう。


そいつらと私を心配そうに見る

紗依たちににっこり笑って、

目の前の人たちに一言。


「興味ないので、どいてください」


「相変わらずキツいねー、それもいいからさ――」

肩に手をかけられそうになって慌てて払おうとすると、


「香乃子ちゃんと俺は真剣交際中なんでー」


ふわっと体が揺れて、

頬が私を寄せた奴の胸にトンと当たる。


「うわー、桃井きたよ、萎えるわ……」

「行こうぜ」

そいつらの嫌そうに去ってく姿は面白いけど、

残った私たちを見る周りの視線が痛いし、

何よりにやけてる美奈と茜の顔が見えてむかつく……。