昇降口についてローファーに履き替えると

私は迷わず1人で歩き出す。


階段を降り終わったところで

私の隣をしつこく歩いていた奴は

可愛らしい誰か知らない生徒に声をかけられ

足を止めた。


でも私はそんなの知ったことではない。

むしろやっと解放されたと思ってるし

今のうちに帰ろうと、

少し気が楽になっていた。


段々と吹く風もぬるくなってきたこの頃、

校門を出るまで後1歩のところで


急に鞄が引っ張られ、

さっき本をしまった時

チャックを半分までしか閉めてなかったせいで

ひっくり返った鞄から中身がこぼれた。


「……あー、もう何!」