――「ねぇ昨日さ、1年の桃井くん、
廊下で女子と抱きついてたらしいよー!」
「えー、やっぱ軽いんだー。
この間もなんか揉めてたよねー」
何事も無かったかのように学校へ登校すると、
駅から学校への道でもアイツの話題が耳に入る。
……どんだけ有名なの、稜佑。
なんて呆れていると、
背中にぽんと衝撃が来る。
「あれ、紗依、おはよう」
「おはよう、香乃子」
その後ろにはにやにや顔の美奈と茜。
「はいはい、話すから」
そういうと、
「もう既に色々噂聞こえてますけどねー」
なんて。
「多分それ、誇張されてるから」
私が淡々というと、
「嘘!じゃあ教室でちゅーしちゃったとか嘘なの!?」
茜が衝撃を受けている。
そこまで、誇張されてるのか。
私が呆れてため息を吐くと
美奈が笑い出す。
「勘弁してよー」
そんなことを言いながらも
校門が見えてくる。