稜佑が初めて自分へ抱く気持ちを口にした。
そんな風に思ってるなんて、
知らなかった。
震えている手をそっととると、
目が合って、少し安心したように話を続ける。
「俺だけが俺のことを嫌いで、
周りから向けられる感情は無反応もしくは同情、軽い好意だけ。
だけどそんな日々の中に俺を好いてくれて、
俺も大切だと思う存在が出来た。
さっき言ったように、一瞬同情から好かれているのかと思った。
でも、違ったんだ。
さっき言ってくれた香乃子ちゃんの言葉でわかった。
俺は、色んな俺の面を知っていながらも、
それでも存在を認識して求めてもらいたかったんだって。
俺の行動に善し悪しをつけずに、
ただ単純に受け入れてもらいたかったんだって」
そこまで言うと稜佑は握っていた拳を解き、
今度は私の手を包んだ。
「俺はとっくに自分の気持ちを持ってたのにね。
困らせて、ごめん。
でももう迷わない。
香乃子ちゃん、好きだよ」