「待てって!」

後ろから足音が続いてきた。


「……しつこい」


なんだかさっきの自分が

やけにいたたまれなくて

私は今すぐこの場から去りたい気持ちだ。


「だから一緒に帰ろって!

……なんで急に歩き出しちゃうんだよ!」


そんな私の気持ちなんて

全く考慮しないこの自己中な人は

まるで自分が可哀想だとでもいうように

私の行動に言及した。


「……もっと顔見せてって言ったじゃん」


「なんで見せなくちゃいけないの?」


そんな気持ちが悪い要求を飲むわけがないのに

そんなこともわからないのか、この自己中は。

うんざりしてもう聞く耳も持てない。


「――だって、可愛かったから」


返事としてなのか、ぼそっと何か言ってたけど、

そっぽを向いていて、私には聞こえなかった。