いつも稜佑を取り囲んでいた人たちも
恐る恐る近づいて挨拶している。
少しぎこちないけど。
「なんかどう接していいかわかんなくて、悪いな」
そう、誰かが稜佑に伝えているのが聞こえた。
伊東くんも登校して、
稜佑がいつも通り声をかけていた。
2人の間にはいつものような雰囲気が漂っていて、
もしかしたら、
稜祐の休学中ちゃんと話せたのかもしれない。
茜の方をそっと見ると、
安心した顔で笑顔を見せた。
教室の雰囲気はいつも通り戻り、
HRも難なく終わった。
だけど移動教室になると
稜佑に対してつっかかる人も多くて
過ごしにくそうだ。
また人の顔色を敏感に受け取って、
頑張って気を使うんじゃないか心配だなあ。
そんな風に思っていると、
美奈に
「女の顔だぁー」
なんてからかわれて顔が熱くなる。
「や、やめてよっ!
そんなんじゃないし!!」
一段落着いて、
みんなの緊張も解けたみたいでよかった。
……からかわれるのは、勘弁だけど。。