――いつもと変わらない時間に登校すると、
廊下がやけに賑やかで
そこを抜けて教室に入ると、
一気に視線が集まる。
ざわついた空気が一瞬止まったかと思えば、
安堵の息が漏れたような空気が流れ出した。
すでに登校していた、3人の元へ歩く。
「おはよう、これってもしかして……」
私がそう話しかけると、
美奈が呆れたように頷いた。
「桃井くんがいつ来るか、
みんなそわそわしちゃってんの。
さっきからドアが開くたび、
全員黙って注目よ」
紗依は心配そうにそわそわしている。
実は伊東くんもまだ来ていない。
もしかして、今までも時々あったけど、
一緒に来るのかな。
「廊下も大変でさ――」
すごく騒がれるの、そう言いかけていると、
教室の外が一気にうるさくなる。
私はびっくりして廊下の方を見ると同時に開くドア。
また教室が静まり返る。
そして今度はすぐには空気は流れない。
来た、稜佑だ。