「私はそんなに多くの人に

関わってるって認識されているわけじゃないからいいけど、

伊東くんは辛いよね。

当事者で1人だけ学校に居るんだもん。

朝からずっと変に絡まれてたし……」


私がそういうと

茜は大きく頷く。


だけど、もどかしいけど、

私たちも少なからず関係者であった以上、

彼に接触するのはかえって

野次馬の好奇心をあおってしまうことになると思う、と

誰も彼にフォローの出来ない数日が続いた。



帰り道、

「なんだか、言っちゃ悪いけど

クラスの人たち薄情だよね」

美奈はため息をつきながら言った。


あの日以来、稜佑や伊東くんの間に何があったかを

興味本位で尋ねる人はあれど、

本気で彼らを心配している人はクラスにゼロ。


クラス、学年を超えて生徒と交流のあった稜祐なのに、

結局全員とはそれまでの関係だったってことだよね。


「いつもは桃井くんを囲む人たちも

心配してるどころか、面白がっているように見えるなぁ。

桃井くん、明日が復学の日だけど、大丈夫かな……」


紗依は心配そうに眉を下げた。