人を愛することは
血の繋がりや他の選択肢の無さからで
無条件に出来ることではないと思うの。
じゃあ愛する、好きになるって何。
私は頭にそう浮かぶと同時に
さっきの稜佑の言葉が思い浮かぶ。
『……これでもまだ香乃子ちゃんは俺の全部を肯定する?』
ここでいう『これでも』とは、
カッとなり、伊東くんと喧嘩したからだろうか、
それとも彼の妹にしつこく干渉されているからだろうか。
確かに彼の行為は、褒められるものじゃない。
血のつながりが完全ではないとはいえ、
年下の、妹に手を上げようとするなんて。
その結果、本人の大事な友人に暴力を振るうなんて。
善行でもなければ正義でもなんでもない。
だけど、
どうしても
私は稜佑の味方でありたいと思うんだ。
過去の事情を知っているから?
麗佳さんが苦手だから?
ううん、違う。
もっともっと稜佑の良いところを知っているから。
彼の優しさを知っているから。
そして、あの拳に対して、
彼が反省しているんだろうとわかるから。