稜佑達は次々に来た先生たちに
体を抑えられる。
「落ち着けっ!!桃井!伊東!」
担任が焦ったように2人の間に立つ。
先に伊東くんが力を緩め、
彼を抑えていた先生たちから解放される。
「何でっ……!!どうして!!」
パニックで頬に手をあてる麗佳さん。
周りの先生たちが怪訝な目を向ける。
「……君は?」
「りょ――桃井の、妹……ですよ」
先生たちに説明する伊東くん。
「もっとひどくなる前に止められて良かったー」
汗を流しながらほっとする美奈。
私は2人に駆け寄る。
「ありがとう、私、なんか動けなくてっ」
「香乃子も大丈夫?」
紗依は私の手をとる。
汗と震えでいっぱいの手。
途端に足の力が抜ける。
「香乃子!?」
美奈のあげた声に近くに居た先生や、
稜佑たちの視線が届いたのがわかった。
「……香乃子、ちゃん!?」
やっと先生から解放された稜佑が
こっちに向かって走ってくる。