「話の内容に俺が関係なくても、
学校で騒がれるのは一生徒として関係あるからさ。
兄妹喧嘩なら家でね」
きっと伊東くんは麗佳ちゃんをなだめるために言ったその言葉に
何故か稜佑が反応する。
「佐月お前これが兄妹喧嘩なんて、
そんな可愛いものだとでも思ってんのかよ!!」
大声をあげて荒れる稜佑の言葉に
『兄妹?』
『え、あれ、桃井の妹?』
という声があちらこちらであがる。
そんな節、伊東くんは冷たい視線を送る。
「……は?お前何言ってるの?
俺はとにかく騒ぐのやめろって言ってんの。
帰る家が一緒ならここで揉めなくていいだろ!!」
初めて見た伊東くんの大きく荒い声に
周りがさらにざわつく。
「俺が好きでこんなんになってんじゃねーよ!
お前のせいだろ、麗佳!
ここから消えろよ」
麗佳さんを見下ろす稜佑に
遠くで見ている私が寒気を感じる。
「何で!?いいじゃん!
稜佑には私だけじゃん!!
私は稜佑にも愛されなくちゃいけないのっ!」
徐々に増していく声量、
それに比例して野次馬も増えていく。