麗佳さんはうちの学校の生徒に囲まれて、
うっとうしそうに苦笑いをしている。
もしかして、紗依が言ってた『付きまとわれる』って、
こういうこと?
私のこと待ち伏せしてたりする……?
怖く思うと、
咄嗟に目が合ってしまう。
気づかれた!?
背中を冷や汗がつたう。
だけど、彼女の表情はみるみる明るくなっていって、
人ごみを一瞬で抜け出し、
私の真横をびゅんと通り過ぎた。
「稜佑っ!!」
私より先に校舎を出たはずの
稜佑がすごい勢いで麗佳さんに抱きつかれる。
「麗佳っ!?
なんでお前ここにっ!!」
その瞬間、今まで彼女を囲んでいた
結構な数の生徒がさらに騒ぎ出す。
「あの美女、桃井の彼女かよ!!」
「えー、稜佑くんの彼女さんハイスペックすぎるー!
敵わないよー!」
下校時間で学年はばらばらな生徒が集まっているはずなのに
ほとんど全員が稜佑を見て話題にする。
「桃井くんの彼女!?」
私の横で驚く美奈に、
「あれが前に言った彼の妹」
と伝えると、納得したように頷いた。