とぼとぼした足取りで教室に戻ると

紗依と美奈がわくわくしたように

「どうだった!?」と駆け寄る。

茜はすでに部活に行ってしまったみたいだ。


「あ……う、うん」


私の表情を見て

一瞬で2人の笑顔は消えた。


「何かあった?」


心配そうな顔で私に座るよう促す美奈と

その隣の席に腰掛ける紗依。


「実は、私の気持ちを伝えたら

稜佑は私への気持ちがよくわからなくなったから頭冷やすって……」


「何それっ!?」


怒ったように美奈が席を立つ。


「私も急にそう言われて、

訳がわからなくなっちゃって。

多分私が今までといっぺん変わって好意を示したから

よくわからなくなっちゃったのかなぁ」


あんな風に言われると

好かれている自信もなくなる。

少し前まで穏やかに話せていたのに。


「そうかもしれないよ?

桃井くんも急展開にびっくりしてただけかも」


優しく紗依に背中をさすられ、

ぬくもりを感じる。


『頭を冷やす』、稜佑はそう言った。

冷やせた後、本当の気持ちを伝えてくれるのかな。