「うん、伊東くんから聞いて。

稜佑が私との距離感に苦しんでいるのには

過去に原因があるはずだって」


「……佐月が?」


「うん、麗佳さんに話しかけられてびっくりしてたら

伊東くんが知っている限りで話すって提案してくれて」


「麗佳っ!?」


体がばっと引き剥がされる。


「う、うん……」

焦っている様子の稜佑を不思議に見上げると


「なんかされた!?大丈夫だった?」


ものすごい勢いで心配される。


そういえば、

紗依が『中学のときも色々有名だった』って

言ってたっけ。


「あー、うん、平気」


『関係ない』って一蹴しちゃったしね。


「あいつがごめん……。

香乃子ちゃんには今後も危害がいかないようにするから。

本当妹とは思いたくないよ」


荒んだ表情に、

やっぱり度々こういうことがあったんだろうと予想する。



「大丈夫、私は稜佑がどんな環境で育ってきても、

今までどんなことがあったとしても

稜佑のこと全部肯定したいからっ!」


明るくそう言う。


これで、稜佑もほっとしてくれるかな。


「……俺のことを全部、肯定?」